結局は、経営者の思い一つでしょう

2018-11-13 (火)

商売は、簡単にいうと、「思いと読み」→「他と比較」→「お客様を絞る」→「サービスを作って値段を決める」→「段取りを準備する」→「知らせる」→「クロージングする」→「上質なサービスをする」→「アフターフォローをする」の順番で出来上がっていると思います。

従業員さんがいる場合は、これを全て従業員が行います。もし、最初の「思い」が間違えていたら、従業員に響かなくて、この流れ全部台無しになってしまいます。また、経営者に「先を読むチカラ」がなければ、多くの作業が徒労に終わってしまいます。

ですので、まず、従業員に響く「思い」を明確にしなければならないと思います。形だけではだめです。口だけで言っているだけだと、従業員に本当に響かなくて、ミス枯れてしまっている場合が、本当に多いです。本当に、大局的に、お客様と従業員と地域社会が「幸せだな~」と感じてもらうことを目指すのですが、ここに、経営者としての「お金の欲」がちらつくと、なんだか、周りが?となるんです。遠回りして、結果的に儲かればいいのですが、手前で儲けを考えてしまう、経営者のサガです。

これを抑えるのは大変なんです。お金だけ儲けたければ、商品がお金で、お金で利益を生むので金融業をやればいいと思います。そうじゃなくて、この人手不足の中、従業員さんに働いてもらって、たくさん店がある中、わざわざ自分の店に来ていただいて。これ、思いが気持ちよくなければ続かない現象ですよね。

人間の幸せとは何でしょうか?私が一つの答えと思っているのが、ピーター・ドラッカーが言っている「人間には、自分の価値観に従い、自分の強みで社会に貢献する責任があり、それが本当の幸せある。」という言葉です。「自分が思った通りにやって、強みを活かせてお金も入って来て、周りのみんなも喜んでいる。」こんな状態です。最高ですね。心理学的な観点では、マズローの欲求5段階説の一番上の「自己実現」の状態です。従業員の自己実現が連続して起こっていれば、会社は自然に発展します。私は企業の目的はここにあると考えています。もっと簡単に言うと「雇用」です。雇用してもらわないと自分で起業しない限りは、自己実現はないです。だから、会社は雇用できるための、利益が必要になり、利益を得るために、お客様が必要ということになります。(顧客創造と言います。)

経営者に、「あなたは、何のために経営をしているのですか」ということを問いただしたとき、従業員の幸せの為と言えますでしょうか。「読み」さえ間違えていなければ、これをはっきり言える経営者の元に人は集まるのではないでしょうか。

 

  • 人が集まる考え方

 

「5年後、10年後の状態を先読みしながら、自分と従業員の夢をかなえる方向を定める」ということがヴィジョンということになります。2つを同時に考えて示すということです。そして、2つを実現させるために、自分のお店のルールと独自の長期な計画を決めていきます。

 

ヴィジョン=思いや夢+読み+それを実現する行動ルールと独自の長期計画

 

重要なことは、それらを「書いておく」・・・明文化するということです。「書く」と、頭にあった曖昧なことが整理されて、足りないところも見えて、はっきりしてきます。

「自分と従業員の夢や思いをかなえる方向を定める」ことが、「経営理念」というものになります。(社是)

しかし、この「自分と従業員の夢や思い」も、世間に受け入れられるようなものででないと発展し続けない訳です。自分の夢がもし世界最大の詐欺師になる、だとしたら、誰が応援してくれるでしょうか。誰も応援してくれないです。ですので、夢には、正しい夢の見方、考えには正しい考え方というものがあると思います。

「人は、大儀がないと動けない」と言われています。戦国武将も大儀を掲げて、協力者を得ていたのは良く知られている話です。経営理念とは、その大儀を作り、みんなでそれに向っていくものだと理解して頂ければと思います。

 

さて、いつも、私が叫んでいることなのですが、誰もがこれは正しいと思える考え方で、経営理念を作る上で、大切にしていかなければならないことは以下の3つになります。経営理念を「幹」と例えるならば、「根」に当たる部分です。松下幸之助や稲盛和夫など、一代で世界的な企業を作り上げた経営者に共通している考え方です。

 

1 素直、感謝

2 プラス思考

3 損得ではなく善悪で判断する

 

この3つが自分の考え方の中にしっかりあって、それが言葉として、にじみ出てくるというのが理想的な経営理念です。

人が商品であり、コトを消費するサービス業、特に、美容室の業界では、この考え方の影響力はかなり大きく、長く繁栄するお店と、一時的には良い時もあるが永く続きづらいお店の違いになります。

少し、マインドの話になるのですが、この中で、どれが一番重要かと「素直」です。たまに、意味を間違えて、「自分に素直」と理解する人がいるのですが、そうではなく、「他人のいうことを抵抗感なく聞ける」ということです。純粋に、「今の自分」以外のことを吸収することが出来る状態なら、どんどん成長できるということです。皆さんも、素直な人と一緒にいたいですよね。こういう後輩がはいってきてほしいですよね。私のコンサル経験上、職人さんは頑固な人が多いので、組織を組み立てづらく、そういった場合、親方の力でねじ伏せているケースがあります。大切な部分は残すべきですが、ますますスタッフ確保が困難になる中、今後、力でねじ伏せるということは、本当にもう通用しません。やっちゃって、大量に人が抜けた会社をたくさん見てきました。

まず、経営者、従業員が「素直」な心を持つべきであることは、どの会社にも共通して重要なことです。

そして、そんなの分かっていると言われそうですが、「感謝」の気持ちを持つ、ということです。何か、行う前に「有難う」と心の中で言って行うと、もし、イライラしていても、少し治まります。お客様に感謝、従業員に感謝、仕入先に感謝、銀行に感謝、親に感謝、全てに感謝です。一番重要なのは、「両親」です。これまでのコンサルの経験上、父親と仲が悪いと会社の上司との関係が悪くなり、一方、母親と仲が悪いと、同僚やお客様との関係が悪くなっているのをよく見かけます。両親との会話が、気がつかないうちに、上司、同僚、お客様との会話に出てします。おそらく、顔や態度にも出るのでしょう。接客業としては、母親に対する感謝の気持ちが重要だと考えられます。

次の「プラス思考」は、仕事をしていく上で、非常に重要な考え方になります。なかなかうまく行かない時や叱られた時などは、だいたい凹みます。ここでよく考えてみると、なんで上手く行かなかったか。実力がない、知識がない、やり方が分からないなど、いろんなことが原因で上手く行かないのですが、だいたいの場合は、自分のことしか見えなくなっていて、何かのせいにしてしまっている場合が多いです。でも、最終的に行動してしまっているのは自分です。だから、上手く行かなくなった時は、どこかに問題点があると気が付けるチャンスなのです。私は、第三者的な立場から、クライアントの従業員に対して見えていない所を教えてあげています。もし、気が付いたなら、素直にやり方を変えていくだけです。これが分かれば、何が起こってもポジティブに考えることが出来るようになります。

逆に、真面目な人ほど「自分のせい」だと強く思い過ぎてしまって、自分を否定的に考えてしまう事も良く見受けられます。そういう場合は、自分にそれほどプレッシャーを掛けないという修正をして欲しいと思います。本当に気を付けて欲しい部分です。プラスからはプラス、マイナスからはマイナスが生まれます。これもどの会社にも当てはまる普遍的な事柄です。もし、親子の確執があって、奥底にマイナス感情があるなら、率先して、自分に折り合いつけて、自分が感謝する方に回ることが大切なのかなと思います。実は、この部分で「事業承継」が困難になり、会社が乱れて、社員が辞めてしまう原因になっているところも、大変良く見かけます。

だから、悪い時ほどチャンス。すべてプラス思考で行動し、これから起こることの精算をして、プラスの貯金を増やすことの重要性が分かる経営理念にしていく必要があると思います。

最後の「損得ではなく善悪で判断する」もビジネスではとても重要な考え方です。京セラの稲盛和夫さんのいう「人として正しいかどうか」「私心なかりしか」という内容にほぼ一致する事柄です。「損して得取れ」も少し似ている部分あります。

人間、どうしても自分中心で考えがちで、あいつのいう事を聞いたら、あいつばっかり得をするとか、人間関係を考えないで、こうやった方が絶対儲かる、とか考えてやってしまうと、その時は得をしたり、儲かったりするのですが、最終的にそれが原因になって、あとで苦しくなったり、損したりしているケースがほとんどです。要は、続かないのです。例えば、商売では、筋を通すこと重要なので、筋を通しておかなければ絶対に上手くいきません。それに気がつかないでやってしまって、上手く行かなくなった場合は、「筋」を理解するチャンスです。分かりやすい話は、Aさん経由でBさんの仕事をしていて、直接Bさんからやらないかと連絡が来たら、絶対Aさんに筋を通さなければならないことは、中学生でも分かるのです。しかし、なぜか、お金に詰まってくると、大人でも、この筋を通す場面、忘れてしまいます。

私の場合もたくさん、善悪で判断して良かったケースがあります。ある時は、ラジオの生放送で、毎週、経営の話をするという案件が来ました。「お、商売につながるな」と、最初は引き受けたのですが、その生放送の時間に、独立したころから世話いなっている定期的な仕事が入っていて、どうしても動かせない。かなり、どうしようと思案したあとに、はやり人として善悪を考えた場合、これまでの取引に感謝し直して、定期的な仕事を取りました。ラジオの仕事はお断りしました。ラジオ局は断られてびっくりしていました。そして、迷惑をかけてはいけないと思い、私の知っている優秀な後輩の中小企業診断士を紹介しました。そうすると、彼は、それをきっかけに仕事を広げていきます。広げる器があったということかと思います。これで終わるとタダの人がいい人の話で終わるのですが、人間には、「返報性の法則」というのがあるようで、今度は、その後輩から、当方に仕事が入るようになりました。それを起点に、いろんな人に会う事が出来たり、私も紹介し合うことなども増えて、みんながハッピーとなっています。こういった話は、皆さん方にもあるはずで、それを強く意識して、善悪で考えることを、経営理念の片隅にでも入れておくと、それを見るたびに何時も気が付くことができるでしょう。

 

  • 「幹」を決める

 

会社によっては、経営理念があるところと、何となく考えはあるが明文化していないところがあります。経営理念は、「夢や思い」がぶれないように、その会社にあった独自なものを必ず作るべきです。3つの正しい考え方を「根」として、「幹」の部分をしっかり固めましょう。

経営理念とは、社是の事で、会社がこの先、「どうすることによって、どうなって行く」と言う経営者の正しい思いが書いてある文章です。

社訓は、社長や社員の「行動規範」です。毎日こうする!と書いて自分で叱咤激励をしていきます。経営理念を実現させるために考えられた、「経験に基づいたルール」で、毎日意識して潜在意識に入れて行動するという文書です。これも、独自に決めていくべきものと思われます。

 

経営理念は、10年、20年、50年、100年経っても変わることのない考えです。しかし、「読み」の部分や「社訓」は時代と共に変えていくべきであると思います。

 

では、不変の経営理念を定めるにあたって、何が必要でしょうか。それは、文書の中や行間に、普遍性の高い考え方として、「素直、感謝、プラス思考、損得ではなく善悪で判断する」という要素を含有させていきながら、自らの経験や、例えば、倒産しかけて復活したときなどの教訓、絶対こうするという強い意志など、その会社の独自な部分を書いていくようにします。

有名な京セラの経営理念は、こんな感じになっています。

「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。」

これが真理で、非の打ちどころがない、素晴らしいものです。一方、どこでも当てはまるので、我々、中堅・中小の企業では、もっと具体的な方が良いかと思います。皆様が常日頃、大切にしている、独自なものをいれていただき、独自なものにして下さい。

 

  • 代表的な経営理念の構成要素

 

さて、経営理念を作る上で、意識しなければならない要素が3つあります。1つ目は、お客様の満足が向上すること、2つ目は従業員の満足が向上すること、3つ目が地域社会の満足が向上することです。私が良く見かけるのは、どれか1つだけに偏っているものです。従業員満足に偏っていたり、お客様満足に偏っていたりする場合が多いです。また、どこかで地域社会への貢献の意識が抜けていたりします。この3つを意識することで、バランスの良い成長を遂げることが出来、継続的に発展する会社になります。特に、地域社会満足向上が忘れがちなのですが、ここが、本当に「チカラ」の元になることは、機会を改めて伝えたいと思います。

 

 <経営理念の構成3要素>

お客様満足向上 従業員満足向上 地域社会満足向上

 

  • センテンスを集める

 

さて、これまで、自分がしてきたことを思い返して、センテンスをたくさん書き出して、集めて、組み立てて行きましょう。

  • なぜ、この商売を始めたのか。何のために仕事をするのか。
  • 今、なぜお客様は、他店ではなく当店に来て頂けているのか(現在の付加価値)
  • 10年後のお客様が来て頂ける理由は何か。自己満足でなく、お客様が本当に喜ぶことは何か。(将来の付加価値)
  • 10年後、20年後、従業員はどのように成長しているのか。(スタッフの将来像)
  • 見本にしている経営者がいれば、どの部分に敬意を持っているのか など

 

上記の内容を考えて、書き綴り、並べ替えて、「お客様満足向上」「従業員満足向上」「地域社会満足向上」の3つの部分に集約させていきます。

 

売上が上がらなくなったら、一度、改めて考えてみて下さい。たぶん、何かが欠けてます。

 

最近、よく言うのが、経営者さんに、自分が従業員だったころのこと、ちゃんと思い出してください。ということです。

経営者になると、本当に、いきなり、頭の中が「お金」でいっぱいになります。

美容学校の学生に、自分のサロンづくりをさせると、アシスタントは給料18万円で十分!とか言い始めます。

まだ、自分はアシスタントにすらなったことない段階でこれです。で、現実の自分は「無理かもしれないけど20万円は欲しい」とかいう訳ですね。

 

経営者は、ちょっとでも負担が小さくなるように、そして、たくさん働いてほしいと従業員に思います。

自分が従業員だったころ、社長がこんな考えだったら、自分はどう思うかなんです。

 

昔と今とは違います。昔は、心配になるぐらい人口が増えた。いまは、心配になるくらいに人口が減る。

世界的に、歴史始まって以来の事です。

 

ヒット商品が出るとしばらく安泰の物販と違って、

人間がサービスを行う、サービス業の場合は、思いが間違えていると、ヒトは、本当に寄ってこない。

 

経営者は、「本当の真剣な思い」で、怠けないように、一生懸命、いま、自分ができることやって、周りに認めてもらってください。

それができてこそ、尊敬される経営者になると思います。 ちょっとした怠惰、禁物です。